「社内のサーバーが古くなってきたが、入れ替えるべきか迷っている」「サーバーの管理を担当者一人に任せていて負担が大きい」――そのような悩みを抱えている企業は少なくありません。クラウドの活用が広がった今でも、サーバーを社内に設置し、自社で管理・運用している企業はまだ多くあります。

この記事では、オンプレミスのサーバー運用が抱えがちな課題と、クラウド化によって得られるメリット、そして「クラウドはセキュリティが心配」という不安への考え方、移行を進める際のポイントをご紹介します。

オンプレミスのサーバー運用が抱える課題

オンプレミスとは、サーバーなどの機器を自社の建物内に設置し、自社で所有・管理する運用形態のことです。社内にファイルサーバーや業務システム用のサーバーを置いている場合、それがオンプレミスにあたります。

自社で機器を持つことには、構成を自由に決められる、社内ネットワークの中で完結できるといった利点があります。一方で、運用を続けるなかで次のような負担が積み重なりやすくなります。

  • 機器の保守と更新:サーバーやストレージ(データを保存する装置)は数年ごとに更新が必要で、そのたびに機器の選定・調達・データ移行の作業が発生します。
  • 障害への備え:ディスクや電源の故障に備えた予備部品の用意、障害発生時の現地対応など、常に「止まらないように」気を配る必要があります。
  • 設置環境の管理:サーバーを置く部屋の空調や電源、停電対策、物理的な入退室管理なども自社の責任です。
  • セキュリティ対策の継続:OSやソフトウェアの更新プログラムの適用、バックアップの確認、ログの監視などを、担当者が日々続けなければなりません。

こうした作業の多くは、専任の情報システム担当者がいない企業や、少人数で兼任している企業にとって大きな負担です。担当者しか状況が分からない「属人化」の原因にもなりやすく、担当者の異動や退職をきっかけに運用が立ち行かなくなるケースも見られます。

「クラウドはセキュリティが心配」という不安について

クラウド化を検討する際に、よく挙がるのがセキュリティへの不安です。「社外にデータを置くのは危ないのではないか」「社内にあるほうが安全なのではないか」と感じる方も多いでしょう。業種や取引先との契約によって、データの扱いに厳しい要件が求められることもあります。

しかし、クラウドであっても、適切に設計すれば高いセキュリティ環境を構築することは十分に可能です。主要なクラウドサービスでは、次のような仕組みを利用できます。

  • 通信と保存データの暗号化:データのやり取りや保存時に暗号化を施し、万一データが漏れても中身を読み取られにくくします。
  • アクセス制御と多要素認証:誰がどのデータやサーバーにアクセスできるかを細かく設定し、パスワードに加えてスマートフォンなどでの確認を求める多要素認証を組み合わせられます。
  • 閉域接続:インターネットを経由せず、専用線やVPN(仮想的な専用回線)で社内とクラウドをつなぐ構成をとることもできます。
  • 操作ログの記録と監視:いつ・誰が・何をしたかを記録し、不審な操作を検知する仕組みを用意できます。
  • データセンターの物理的な安全性:クラウド事業者のデータセンターは、入退室管理や電源・空調の冗長化(予備を持たせて止まりにくくすること)など、一般的な社内のサーバールームでは難しい水準の対策がとられています。

大切なのは、「クラウドだから安全」「社内だから安全」と場所で判断するのではなく、どのように設計し、どのように運用するかで安全性が決まると考えることです。クラウド事業者が守る範囲と、利用する企業側が設定・管理する範囲を正しく理解し、自社の要件に合わせて構成することが重要です。

サーバーのクラウド化で得られる運用面のメリット

クラウド化の大きな魅力は、日々の運用負荷を減らせる点にあります。

機器の保守・更新から解放される

クラウドでは、サーバーの物理的な機器はクラウド事業者が管理します。ハードウェアの故障対応や、数年ごとの機器更新にともなう調達・入れ替え作業が不要になり、担当者は本来取り組むべき業務に時間を使えるようになります。

バックアップや障害対策を仕組みで実現できる

クラウドサービスには、自動バックアップや、別の地域のデータセンターへデータを複製する機能などが用意されています。オンプレミスで同じ水準の対策を整えようとすると、機器や設置場所を別に用意する必要があり、費用も手間もかかります。災害時の事業継続を考えるうえでも、クラウドは有力な選択肢になります。

場所を選ばずに利用・管理できる

クラウド上のサーバーは、適切なセキュリティ対策をしたうえで、社外からも利用・管理ができます。テレワークや複数拠点での業務にも対応しやすく、障害時に担当者が必ず出社しなければならない、という状況も減らせます。

クラウドならではの柔軟性

運用負荷の軽減に加えて、クラウドには「柔軟に変えられる」という特長があります。

オンプレミスでは、将来の利用量を見込んで、あらかじめ余裕のある性能の機器を購入するのが一般的です。予想より利用が伸びなければ過剰な投資になり、逆に想定を超えれば機器の追加や入れ替えが必要になります。

クラウドであれば、必要な性能や容量を、必要なときに増やしたり減らしたりできます。

  • 事業の拡大や社員の増加に合わせて、サーバーの性能や保存容量を段階的に増やせる
  • 繁忙期だけ処理能力を上げ、落ち着いたら元に戻す、といった使い方ができる
  • 新しいシステムを試したいときに、機器を購入せずに検証用の環境をすぐに用意できる
  • 使わなくなったサーバーは停止・削除することで、費用を抑えられる

初期投資を抑えながら、事業の変化に合わせてITインフラを見直していける点は、クラウドならではのメリットです。ただし、利用量に応じて費用が変わる仕組みのため、構成やプランを適切に選び、定期的に利用状況を見直すことが大切です。

クラウド移行を進めるときのポイント

クラウド化は、サーバーをそのままクラウドに移すだけでは十分な効果が得られないこともあります。次のような点を押さえて進めることをおすすめします。

  1. 現状の把握:社内にどのようなサーバーがあり、何に使われているか、どのデータを誰が利用しているかを整理します。
  2. 移行対象の選定:すべてを一度にクラウドへ移す必要はありません。ファイルサーバーなど効果が見えやすいものから始める、社内に残すべきものは残すなど、段階的に進める方法もあります。
  3. サーバーの集約:用途ごとに増えてきたサーバーを、クラウド移行を機に整理・集約することで、管理の手間や費用を減らせます。
  4. ネットワークの見直し:クラウドの利用が増えると、インターネット回線や社内ネットワークの通信量が変わります。回線の帯域、クラウドとの接続方法、拠点間の通信経路などをあわせて見直すことで、快適さと安全性を両立できます。
  5. 運用ルールの整備:アカウントの管理方法、アクセス権の付与ルール、バックアップの確認方法など、クラウドならではの運用ルールを決めておきます。

特にセキュリティの設計とネットワークの見直しは、専門的な知識が求められる部分です。社内だけで進めるのが難しい場合は、設計から構築、移行後の運用までを相談できるパートナーに任せることも一つの方法です。テクルーズでは、ITインフラ設計・構築・運用保守として、現状の整理からクラウドへの移行・集約、ネットワークの見直しまでを一貫してご支援しています。移行後の日々の運用やトラブル対応も含めて任せたい場合は、ITトータルサポートもご活用いただけます。

まとめ

サーバーを社内に設置して自社で管理する運用は、機器の保守・更新や障害への備え、セキュリティ対策の継続など、担当者に多くの負担をかけがちです。

クラウドは「セキュリティが心配」と思われることもありますが、暗号化やアクセス制御、閉域接続などを組み合わせて適切に設計すれば、高いセキュリティを確保できます。そのうえで、機器管理からの解放、バックアップや障害対策の仕組み化、必要に応じて規模を変えられる柔軟性など、運用面で多くのメリットが得られます。

まずは自社のサーバーの現状を整理し、どこから見直せるかを検討してみてはいかがでしょうか。クラウドへの移行やサーバーの集約、ネットワークの見直しは、テクルーズにお任せください。